仕事のストレス判定図とは

仕事のストレス判定図は、平成7~11年度労働省「作業関連疾患の予防に関する研究」によって開発され、ストレスチェックの結果から仕事上の心理的なストレス要因を評価し、それが従業員のストレス反応や健康リスクにどの程度影響を与えているかを判定するための簡便な方法です。
厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」では、ストレスチェック実施後に集団分析を行い、職場環境の改善につなげるためのツールとして、この判定図の使用を推奨しています。
[参考] 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル 84ページ
集団ごとの集計・分析の具体的な方法は、使用する調査票(ストレスチェック項目)により異なりますが、国が標準的な項目として示す「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)又は簡略版(23項目)を使用する場合は、「職業性ストレス簡易調査票」に関して公開されている「仕事のストレス判定図」によることが適当です。

仕事のストレス判定図の操作方法

(1)ストレス判定値一覧表
仕事のストレス判定図に使用する値の一覧表です。全体、組織、性別、年齢など、各集計区分ごとの結果を見ることができます。個人が特定されないよう、実施人数が3人未満の集団の結果は表示されません。
・一覧表は、総合健康リスク高→低の順に並んでいます。
・この表の行をクリックすると、(3)のグラフ上にその行の結果の点を打つ / 消す を切り替えます。
・一番右の列の「行を隠す」のスイッチをクリックすると、その行を非表示にすることができます。
(2)の操作パネルにある「隠れている行を表示」のボタンを有効(青色)にすると、隠した行を表示することができます。

(2)操作パネル
表示行、グラフの点の一括操作や、隠した行を再表示するなど、便利な機能が利用できます。
各ボタンにマウスの矢印を乗せると、機能の説明が表示されます。

(3)仕事のストレス判定図
(1)の表で点を打った集団について、『仕事の量とコントロール度』および、『同僚・上司の支援』がどのようにストレス度に影響を与えているか、傾向を見ることができます。
行の表示/非表示とグラフの点の付け外しを利用して、見たい集団の結果をグラフに表示し、比較・分析に活用するのが、判定図の主な利用方法となります。

仕事のストレス判定図の読み方

グラフはいずれも、白の領域はストレス度が低く、黄色→赤と色が濃い領域ほど高ストレスとなり、その職場で仕事のストレスによって生じている健康リスクが高くなることを表しています。

(1)の表に記載されている『仕事の量とコントロール度』のリスク値、『同僚・上司の支援』のリスク値、および『総合健康リスク』は、全国2.5万人の労働者の調査から得たデータの平均を100としたとき、現在の職場の仕事のストレス要因が、どの程度従業員の健康に影響を与える可能性があるかの目安となるものです。
リスク値が120の場合、全国平均と比較して、健康問題が20%多めに発生すると推定されます。

・仕事の量的負担とコントロール度の判定図
仕事量が多く、仕事のコントロール度合い(裁量)が低い職場ほど、高ストレスとなります。
仕事で求められる作業の量やスピードに比べて、自分の裁量権や自由度が限られている(仕事上のコントロールが低い)場合に高ストレスとなり、健康上の問題がおきやすくなります。仕事のコントロールが高い管理職にくらべて、作業の進め方ややり方が限定されている製造ラインの作業者ではわずかな作業量の増加でもストレスになりやすいのです。また高ストレスの人たちは忙しいように見えて、生産性があがっていないと思われます。忙しい仕事でも従業員に自分で判断したり工夫したりする裁量権が与えられている場合にはストレスが少なく、生産性も増加すると考えられています。

・上司の支援と同僚の支援の判定図
上司および同僚の支援がない職場ほど、高ストレスとなります。
上司が職場をうまく管理している場合や、必要に応じて部下の相談などにのってくれる場合、つまり上司の支援が高い場合に仕事上のストレスは少なくなります。また、一緒に仕事をしている職場の同僚が困った時に助言をしてくれたり、相談にのってくれたりする場合、つまり同僚の支援が高い場合に仕事のストレスは少なくなります。

もし全体的にリスク値が全国平均を下回っていても、同じ職場の中でのストレス度の高低差に注意してください。 職場全体のリスク値が70で、リスク値90の集団があった場合、その集団は全国平均は下回っていても、職場全体の平均より高いストレスを感じているということになります。
「全体」の結果と他の集団と比較し、特にストレス度の高い集団や、逆にストレス度の低い集団を特定することで、職場全体のストレス傾向を把握し、職場環境改善の参考としてください。

参考情報

「仕事のストレス判定図」マニュアル
東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野

職業性ストレス簡易調査票を用いたストレスの現状把握のためのマニュアル
東京医科大学 公衆衛生学分野

労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
厚生労働省

備考

ストレスチェッカーの仕事のストレス判定図では、「性別」以外の集団では、男女を区別せず、男性用の判定図を使用しています。
[参考] 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル 86ページ
仕事のストレス判定図では、男女別に判定図が用意されています。しかしストレスチェックでは、性別の情報を調査しない場合もあります。性別にわけて集計することで1分析単位あたりの回答者数が少数となり分析が困難となる場合もあります。このような場合には男女を区別せず、男性の判定図を使用します。ただし、女性のデータを男性の判定図にあてはめた場合、量的負担と仕事のコントロールによる健康リスク値がどちらかといえば過大に評価される可能性があるので注意します。

ご注意:ご利用のブラウザのバージョンが古いと、仕事のストレス判定図が正常に動作しない場合があります。 必ず各ブラウザの最新版をご使用ください。